Cloudflareとは?導入するメリットや使い方などを解説

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Taichi Kanemoto
May 29, 2025
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企業がWebサイトを運営する際、セキュリティ強化やサーバーダウン対策は不可欠です。

対策の一環として、多くの企業がCDNを導入しています。

数あるCDNのなかでも、Cloudflare(クラウドフレア)は特に利用者が多いサービスとして有名です。

Cloudflareは高度なセキュリティ性とスピーディーなコンテンツ配信が実現できるため、多くの企業で導入されているCDNです。

本記事では、Cloudflareを導入するメリットや、具体的な機能などについて解説します。

Cloudflareの使い方や料金プランなども紹介するので、導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

また、Webサイトの表示速度でお悩みの方は弊社の画像最適化サービス「Imgix」もご検討ください。日本経済新聞や一休.comといったサイトのスピード改善に活用いただいています。

Cloudflareの概要

Cloudflareとは、Webサイトの表示速度の改善や、セキュリティの強化に役立つCDNの一種です。

そもそもCDNは「Content Delivery Network」の略称であり、日本語では「コンテンツ配信ネットワーク」と訳されます。

CDNはWebサイト上のコンテンツを複製・保存し、最適な経路で提供するためのネットワークです。

適切に活用すれば、Webサイトの表示速度を改善し、UXの向上を実現できます。

2010年にサービスが開始されたCloudflareは、元々はスパムメールを追跡する「Project Honey Pot」と呼ばれるシステムが前身です。

Project Honey Potのシステムをさらに発展させ、高いセキュリティ性を持つCloudflareが誕生しました。

W3C Techの調査によると、Cloudflareは世界シェア1位のサービスです。

Cloudflareは「より良いインターネットの構築」をミッションとしており、世界各国で利用者を増やしています。

今後もCloudflareは高いシェアを維持し続けるでしょう。

参照:では、Cloudflareとは何でしょう?|Cloudflare

   Cloudflareの歴史|Cloudflare

Cloudflareの特徴

Cloudflareの特徴は、以下の3点に集約されます。

  • 大規模なネットワーク基盤を持つ
  • さまざまな機能を搭載している
  • セキュリティ性が高い

本章ではCloudflareの特徴を解説します。

大規模なネットワーク基盤を持つ

Cloudflareは世界中の335以上の都市にデータセンターを配置し独自のグローバルネットワークを形成しています。

さらに主要なクラウドプロバイダーと直接接続するだけでなく、多数のサービスプロバイダーと相互接続しています。

そのため、ユーザーがどこからアクセスしてもパフォーマンスが変わりません。

Cloudflareのネットワーク基盤はエッジネットワークと呼ばれ、遅延やサーバーの負担軽減に効果を発揮します。

さまざまな機能を搭載している

Cloudflareはさまざまな機能を搭載しています。

複数人でコンテンツの管理ができるマルチユーザー管理・画像変換ツール・順番待ちができる待機室など、CloudflareはWebサイトをスムーズに管理・運用できる機能が豊富です。

加えて、昨今のAIの進展に伴い、生成AIサービスやセキュリティ用のAIなどが実装されています。

Cloudflareは新たな機能の搭載や、従来の機能の改善を積極的に実践しています。

セキュリティ性が高い

Cloudflareはセキュリティ性の高さが最大の魅力です。以下のようなセキュリティ対策を提供しています。

対策
詳細
WAF(Web Application Firewall)
脆弱性を狙った攻撃からWebアプリケーションを守る機能。
DDoS攻撃対策
大量の不正トラフィックを遮断し、サーバーの過負荷を防止する機能。
SSL/TLS暗号化
Webサイトの通信を暗号化し、情報漏洩を防ぐ機能。

Cloudflareのセキュリティ対策は、通常のファイアウォールで防げないサイバー攻撃に対応できます。

加えて、いずれのセキュリティ対策も、Cloudflareにデフォルトで搭載されているものです。

そのため、複雑な設定をする必要がありません。

Cloudflareの主な活用事例

先述したように、Cloudflareはさまざまな企業で活用されています。

本章ではCloudflareの活用事例として、以下の3社を紹介します。

  • JCB|Cloudflareの導入でコストの最適化に成功
  • DeNA|リモートワーク用にCloudflareで信頼できる接続を実現
  • Money Forward|セキュリティ対策にCloudflareを活用

それぞれ順番に解説します。

JCB|Cloudflareの導入でコストの最適化に成功

日本のクレジットカードブランドであるJCBは、代理店のDigiCertの協力を得て、2021年からCloudflareの利用を開始しました。

元々JCBはCloudflareとは異なるCDNや、DDoS攻撃対策製品を利用していました。

しかし、サービス内容に対する費用対効果に課題があり、新たなCDNの導入を検討しています。

JCBはCloudflareが日本法人を設立したタイミングで導入を決定しました。

その際、DigiCertの手厚いサポートを受けて、スムーズなCloudflareの導入に成功しています。

Cloudflareを導入した結果、JCBはCDNやDDoS攻撃対策に要するコストの最適化に成功し、ビジネスにリソースを注入しやすい体制を構築しています。

参照:JCB|Cloudflare

DeNA|リモートワーク用にCloudflareで信頼できる接続を実現

さまざまな事業を展開するDeNAグループは、リモートワークを実施していたものの、VPN接続に問題を抱えていました。

問題の解決のため、DeNAグループはCloudflare Accessを導入しています。

Cloudflare AccessはCloudflareのITセキュリティモデルであるZTNA(Zero Trust Network Access:ゼロトラスト・ネットワーク・アクセス)です。

Cloudflare AccessはVPNを使わずに高速かつ安全性の高い接続を可能とします。

Cloudflare Accessの導入により、DeNAは問題解決にかかる時間を約82%削減しています。

さらに以前利用していたVPNでは解決できなかった問題が解決できたり、セキュリティ性の強化に成功したりするなど、さまざまな効果を得られました。

参照:DeNA|Cloudflare

Money Forward|セキュリティ対策にCloudflareを活用

Money Forwardは金融機関や法人・個人に向けてSaaSなどのサービスを提供する企業です。

Money Forwardはユーザー数や製品ポートフォリオの増大に伴い、セキュリティツールやパフォーマンスツールの強化を課題としていました。

Money ForwardはCloudflareのアプリケーションとWAFを導入し、理想的なセキュリティを獲得しています。

さらにCloudflareを活用し、ドメインとサブドメインの膨大なポートフォリオの管理を効率化しました。

参照:Money Forward|Cloudflare

Cloudflareを導入する5つのメリット

Cloudflareには、以下のようなメリットが期待できます。

  • Webサイトの表示速度を改善できる
  • 設定や導入が簡単にできる
  • 充実した機能でUXの向上が期待できる
  • 無料でも導入できる
  • Webサイトのセキュリティを強化できる

Cloudflareのメリットを把握すれば、導入時に得られる効果のイメージを具体化できます。

Webサイトの表示速度を改善できる

Cloudflareなら、Webサイトの表示速度の改善が可能です。

Cloudflareはエッジネットワークによって、サーバーの負担を減らしつつ、表示速度を改善できます。

Webサイトにおいて、表示速度は重要な要素です。

表示速度はSEOの評価を下げるだけでなく、ユーザーの離脱率を上げる原因になります。

Cloudflareで表示速度を改善できれば、ユーザーがより長くWebサイトに留まり、さまざまなコンテンツや記事をチェックする可能性が高まります。

設定や導入が簡単にできる

Cloudflareは設定や導入が簡単にできる点も魅力です。

CDNサービスのなかには、設定や導入に手間がかかるものもありますが、Cloudflareは標準設定でも十分効果を発揮します。

さらにCloudflareは日本語表示が完備されているうえに、難解な専門用語がない簡素なテキストで説明してくれます。

そのため、設定や導入に数分程度しかかかりません。

CDNを初めて導入する企業にとって、設定や導入のしやすさは大きなメリットです。

充実した機能でUXの向上が期待できる

Cloudflareには充実した機能があるため、UXの向上が期待できます。

特にCloudflareの機能で有用なのは画像変換ツールとオンライン待機室機能です。

画像変換ツールは画像のリサイズや最適化をCloudflare内で実施できる機能です。

Webサイトで表示される画像を適切な状態にすることにより、表示速度を改善できます。

オンライン待機室機能は、アクセスが集中した際に一時的にリクエストを制限し、ユーザーをオンライン待機室(仮想キュー)に入れる機能です。

ユーザーのアクセス過多によるサーバーのパンクを防止できます。

Cloudflareの機能はいずれもUXの向上が期待できる効果があるものです。

Webサイトの快適な状態を常に維持することにより、より多くのユーザーがアクセスしやすい状況を構築してくれます。

無料でも導入できる

Cloudflareは無料でも導入が可能です。

詳細は後述しますが、Cloudflareには複数の料金プランがあり、なかには無料で利用できるプランがあります。

有料プランと比較すると機能面で制限はありますが、無料プランも十分ビジネスに活用できます。

無料プランは、Cloudflareの使用感や機能を最初にチェックするうえで有用です。

有料プランへの切り替えも手軽にできるので、本格的な導入もスムーズに実践できます。

Webサイトのセキュリティを強化できる

Cloudflareを導入すれば、セキュリティのさらなる強化が可能です。

デフォルトのセキュリティ対策でも、Cloudflareは一般的なファイアウォールでは対処できない高度なサイバー攻撃からもWebサイトを保護し、常に最新の脅威に対応するためのアップデートが提供されます。

Cloudflareの3つのデメリット

Cloudflareは優れたツールである一方、以下のようなデメリットに注意しなければなりません。

  • ダウンするとWebサイトが停止する
  • 知識がないと運用が難しくなる
  • WordPressで利用すると不具合を起こすリスクがある

スムーズに運用するためにも、それぞれのデメリットをあらかじめ把握しましょう。

ダウンするとWebサイトが停止する

Cloudflareは、ダウンするとWebサイトが停止するリスクがある点には注意しましょう。

Cloudflareでは、すべてのWebサイトがCloudflareを経由して表示されるため、万が一障害が発生すれば、たとえサーバー側に問題がなくとも、閲覧ができなくなります。

Cloudflareでは過去にデータセンターに障害が発生した際、ユーザーのWebサイトが一部アクセスできなくなったことがありました。

ユーザーの大半に影響が及ぶような障害は発生していなかったものの、同様の事態に備える必要はあります。

知識がないと運用が難しくなる

Cloudflareはユーザー側の知識が不足していると運用が難しくなります。

Cloudflareはキャッシュルールを適切に設定しなければ、不具合が発生するリスクがある点には注意が必要です。

キャッシュルールの設定をミスすると、管理画面など非公開の情報がユーザーに開示されてしまうケースがあります。

また、機能の最適化やDNSの設定はある程度の知識が必要です。

デフォルトでもCloudflareは利用できますが、より良く運用するなら、ベンダーに相談して知識を身に付けましょう。

WordPressで利用すると不具合を起こすリスクがある

CloudflareをWordPressで利用すると、不具合が起こるリスクがあります。

Cloudflareのキャッシュルールを適切に設定していない状態だと、WordPressにログインしたうえでサイトを閲覧すると、管理画面などがユーザーに表示される場合があります。

WordPressでCloudflareを利用する際は、ページルールで管理画面やプレビュー画面のキャッシュを無効にしておきましょう。

Cloudflareの使い方

Cloudflareは以下の手順で使用します。

  • アカウントを作成する
  • 初期設定を行う
  • クイックスタート設定を行う

それぞれの手順について、順番に解説します。

アカウントを作成する

まずはCloudflareの公式サイトにアクセスし、アカウントを作成しましょう。

アカウントはメールアドレスとパスワードを設定するだけで完了します。

初期設定を行う

アカウントを作成したら、初期設定を実施しましょう。

初期設定の手順は以下のとおりです。

1.ダッシュボードにアクセスし、「サイト追加」をクリック

2.サイトドメインを入力する

3.料金プランを選択する

4.DNS設定を行う(通常利用なら設定は不要)

5.ネームサーバーの変更画面に従い、ドメイン管理サイトのネームサーバーを画面の指示に従って変更する

上記の初期設定が完了したら、クイックスタート設定に移ります。

クイックスタート設定を行う

クイックスタート設定の手順は以下のとおりです。

1.「始める」のボタンを押す

2.HTTPSの自動リライトをONにして保存

3.「常にHTTPSを使用」をONにして保存

4.Auto Minify(サイト表示の最適化)のすべての項目にチェックを入れて保存

5.Brotli(コンテンツの圧縮機能)をONにして保存

6.設定内容を確認したら終了

クイックスタート設定が完了し、ネームサーバーが反映されれば、ドメインがアクティブになります。

Cloudflareの料金プラン

Cloudflareの料金プランは以下のとおりです。

参照:アプリケーションサービス 料金設定|Cloudflare

無料で利用できるFreeは、一部の機能に制限こそありますが、CDNやWAFなど、Cloudflareの重要な機能を利用できます。

Cloudflareを導入する際の4つのポイント

Cloudflareを導入するなら、以下のポイントを意識しましょう。

  • 導入すべきWebサイトか判断する
  • キャッシュクリアを定期的に行う
  • 予備のDNSサービスを用意する
  • ノウハウを持つ人材を確保する

いずれもCloudflareをスムーズに導入するうえで重要なポイントです。

導入すべきWebサイトか判断する

Cloudflareを導入すべきWebサイトか判断することは、費用対効果を検討するうえで重要です。

基本的にCloudflareはあらゆるWebサイトでの利用が推奨されていますが、特に以下のようなWebサイトは導入を積極的に検討しましょう。

  • 高トラフィックやアクセス数が多いWebサイト
  • 画像や映像のコンテンツが多いWebサイト
  • 個人情報を多く扱っているECサイトのようなWebサイト

上記のようなWebサイトはCloudflareによって読み込み速度の改善や、セキュリティの強化が期待できます。

キャッシュクリアを定期的に行う

先述したように、Cloudflareはキャッシュクリアを定期的に実施することが不可欠です。

キャッシュ設定を最適化していないと、Webサイトの更新が反映されなかったり、読み込み速度が遅延したりします。

特にWordPressで運営するWebサイトにCloudflareを導入する際は、一層注意しましょう。

予備のDNSサービスを用意する

Cloudflareは障害が起こるとWebサイトが閲覧できなくなるリスクがあるため、予備のDNSサービスを用意しておくことがおすすめです。

予備のDNSサービスがあれば、Cloudflareに障害が発生してもWebサイトにアクセスできます。

ノウハウを持つ人材を確保する

Cloudflareを適切に運用するなら、ノウハウを持つ人材を確保しましょう。

Cloudflareは設定や導入が簡単ですが、より良く運用するにはノウハウが不可欠です。

Webサイトを運用する従業員には、Cloudflareのノウハウを学ばせ、最適な運用ができるようにしておきましょう。

よく比較されるCDNサービス

本章では、Cloudflareとよく比較されるCDNサービスを紹介します。

Cloudinary 

出典:Cloudinary

Cloudinaryは、画像や動画といったメディアコンテンツをCDNにより高速に配信できるサービスです。

CDNのほか、クラウドのAI(人工知能)機能などにより、数百万点の製品画像やビデオをサポートし、Webパフォーマンス向上に貢献します。

特に、メディアコンテンツを多用するECサイトに効果的です。

Amazon CloudFront

出典:Amazon CloudFront

Amazon CloudFrontは、AWSが提供するCDNサービスです。

600以上の配信拠点に対して、自動化されたネットワークマッピングと高度なルーティング機能を適用することで、通信遅延を最小化します。

またセキュリティ面では、AWS Shield Standardを活用すると、追加費用無しでDDoS対策を強化できます。

関連するAWSサービスと容易に連携できるため、AWS環境で構築されたWebサイトにおすすめです。

Akamai

出典:Akamai

Akamaiは、世界130カ国以上に4,200以上の拠点を展開する業界最大級のCDNプロバイダーです。

大規模なトラフィックにも対応可能なインフラと24時間対応のサポートを提供し、DDoS・DNS攻撃対策や不正利用対策など、企業向けの高度なセキュリティを実現しています。

Akamaiは、大規模なWebサイトやエンタープライズ向けのサービスに適したCDNです。

Imgix

出典:Imgix

Imgixは、画像に特化したCDNサービスで、リアルタイムの画像処理と最適化機能を備えています。 

世界中に分散されたCDNネットワークを活用し、画像の高速配信だけでなく、リサイズやクロップ、フォーマット変換などの処理をURL上のパラメータ指定のみで実現できる点が特徴です。

開発者の実装負荷を軽減しながら、サイト全体のパフォーマンスを向上させたいWeb開発チームに最適です。

またImgixは、Cloudflareと併用されるケースもあります。jsやcssの配信をCloudflareで行い、画像や動画の配信はImgixで行うというような実装です。詳細はぜひお問い合わせください。

まとめ Cloudflareを活用してWebサイトをレベルアップしよう

CloudflareはWebサイトの表示速度の改善や、セキュリティ強化を実現できるCDNサービスです。無料プランも提供されているため、コストを抑えながら導入効果を検証できます。

特にECサイトなど個人情報の取り扱いが多かったり、アクセスが集中するサイトであれば、Cloudflareは高い投資対効果が期待できます。

Cloudflareは継続的なアップデートを行っており、機能の改善や障害の防止などにも力を入れています。

より安定的に運用できるCDNを探している方は、ぜひチェックしてみてください。

また、Webサイトの表示速度でお悩みの方は弊社の画像最適化サービス「Imgix」もご検討ください。日本経済新聞や一休.comといったサイトのスピード改善に活用いただいています。