Webサイトにおける画像圧縮の完全ガイド!AI活用でSEOと表示速度改善

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by
Taichi Kanemoto
June 30, 2025
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3 minute read

「Webサイトの表示速度が遅い」と感じたことのある方は多いのではないでしょうか。良質なコンテンツを作成しても表示速度が遅いとユーザーに見てもらいにくくなり、期待する成果を得られない可能性が高まります。

実は、Webサイトの表示速度が遅くなる原因の多くは、画像ファイルのサイズです。サイズが大きいとWebサイトの読み込みに時間がかかり、ユーザーの離脱率が上昇します。画像ファイルを最適化するためには画像圧縮を行うのが効果的ですが、難易度が高いと感じる方も多いでしょう。

そこで本記事では、Webサイトの表示速度を劇的に改善する画像圧縮について解説します。画像の最適化におすすめのツールも紹介しているので、最後まで参考にしてください。

画像圧縮における基礎知識

まず、画像圧縮についての理解を深めましょう。基本的な仕組みを知れば、企業の目的に合った最適な方法を選べます。

画像圧縮の仕組み:メリットとデメリット

画像圧縮とは画質の劣化を最小限に抑えながら、画像のファイルサイズを小さくする手法です。ファイルサイズを小さくすると、以下のようなメリット・デメリットが生まれます。

メリット

・表示速度の向上:ファイルが軽くなり、Webページの読み込みが速くなる

・ユーザー体験の改善:ページの表示速度が速いとユーザーのストレスが減り、離脱率が低下する

・SEO評価の向上:サイトの表示速度はGoogleなどの検索エンジンにおける評価指標の1つのため、早いほど上位表示を狙える

・サーバー負荷の軽減:データ転送量が減るため、サーバーの負担が軽くなる

デメリット

・画質の劣化:圧縮率を高くしすぎると、画像の鮮明さが失われることがある

・元に戻せない:「非可逆圧縮」という方法では、一度圧縮すると元の画質には戻せない

圧縮方法によってはデメリットも存在するため、両方を理解しておくことが重要です。

AI画像圧縮技術の進化と従来手法との違い

画像圧縮技術は、AIの登場によって大きく進化しました。従来の圧縮方法とAIを活用した最新技術には、明確な違いがあります。

従来手法とAI圧縮の特徴を比較しましょう。

判断基準
・従来手法:一律のアルゴリズムで処理する。
・AI画像圧縮:画像の内容(風景、人物など)をAIが認識し、最適な圧縮を行う。

画質の維持
・従来手法:圧縮率を上げると画質が著しく劣化しやすい。
・AI画像圧縮:高い圧縮率でも、人間が重要と感じる部分の画質を維持しやすい。

効率性
・従来手法:手動での微調整が必要な場合がある。
・AI画像圧縮:自動で最適な圧縮レベルを判断してくれるため、手間が少ない。

代表的な形式
・従来手法:JPEG、PNG、GIF。
・AI画像圧縮:AVIF、JPEG XL など(AI技術で最適化)。

AI画像圧縮は単にファイルサイズを小さくするだけでなく、画質維持と高圧縮率を高いレベルで両立させます。

SEOに効果的な画像圧縮:ファイルサイズと画質のバランス

画像圧縮はSEOにおいて非常に重要です。

ただし、ファイルサイズを軽くすることだけを追求してはいけません。画質が著しく劣化した画像はユーザーに悪い印象を与え、かえってサイトの評価を下げてしまう可能性があります。


大切なのは、以下のポイントを意識して「ファイルサイズ」と「画質」の最適なバランスを見つけることです。

  • ユーザーがストレスを感じない程度の表示速度を保つ
  • 商品写真や作例など、画質が重要な画像は圧縮率を控えめにする
  • アイコンや背景画像など、補助的な画像は積極的に圧縮する
  • WebPなどの次世代フォーマットを活用して、高画質と高圧縮を両立させる

画像圧縮の注意点:劣化を防ぐためのポイント

画像圧縮を行う際には、いくつか注意すべき点があります。以下のポイントを知っておくと、意図しない画質の劣化を防げます。

元画像のバックアップを取る
・一度圧縮(特に非可逆圧縮)した画像を元に戻すことは困難なため、作業前には元となるオリジナル画像を別の場所に保存しておく。

圧縮を繰り返さない
・JPEGのような非可逆圧縮形式のファイルは、保存を繰り返すたびに画質が劣化する。
・編集や圧縮はできるだけ一度で完了させるように心がける。

適切な画像形式を選ぶ
・写真にはJPEGやWebP、色の境界がはっきりした画像にはPNGやSVGが適している。
・用途に合わない形式で保存すると、ファイルサイズが大きくなったり、画質が劣化したりしやすい。

【目的別】画像圧縮のおすすめツール・機能

画像圧縮ツールには複数の種類があります。ここでは、目的や用途に合わせて最適なツールや機能の選び方を紹介します。

開発チーム向け|API連携可能な画像圧縮ツール

システムに画像圧縮機能を組み込みたい場合は、API連携が可能なサービスがおすすめです。手動でのアップロード作業を自動化し、開発効率を大幅に向上できます。

  • Cloudinary
    • 画像だけでなく動画の管理・配信にも対応した総合的なプラットフォーム
  • Kraken.io
    • シンプルなAPIで、既存のワークフローに簡単に統合できる

モバイル対応重視の方向け|レスポンシブ画像圧縮ツール

スマートフォンのような小さな画面からデスクトップの大きな画面まで、さまざまなデバイスで最適に表示させるにはレスポンシブ対応が欠かせません。モバイル対応重視の方には、以下の機能を持つツールが有効でしょう。

デバイス検知機能
・アクセスしてきたデバイスの画面サイズを自動で検知する機能。

動的リサイズ機能
・検知した画面サイズに合わせて、画像を最適な大きさに自動で変換して配信する機能。

アートディレクション機能
・デバイスごとに画像の切り抜き方(トリミング)を変えるなど、より高度な表示制御ができる機能。

Webサイト運営者向け|SEOに特化した画像圧縮ツール

Webサイトの集客力を高めたい方には、SEOを支援する機能が豊富なツールが適しています。

次世代フォーマット自動変換
・概要:ブラウザが対応していれば、WebPやAVIF形式に自動で変換して配信する。
・SEOへの効果:ファイルサイズが小さくなり、表示速度が向上する。

Lazy Load(遅延読み込み)
・概要:画面に表示される直前まで画像の読み込みを遅らせる。
・SEOへの効果:初期表示速度が劇的に速くなり、Core Web Vitals の評価が上がる。

CDN連携
・概要:世界中のサーバーに画像のキャッシュを配置し、ユーザーに近い場所から配信する。
・SEOへの効果:物理的な距離が短くなり、画像の読み込みが速くなる。

画質を重視したい方向け|プロ仕様・AI搭載画像圧縮ツール

写真家やデザイナーなど、画質に一切の妥協ができないプロフェッショナルには、AI技術を搭載した高機能なツールが最適です。

  • Topaz Photo AI
    • AIがノイズ除去やシャープ化、アップスケーリング(高解像度化)を行い、圧縮後も美しい画質を保つ
  • Luminar Neo
    • AIによる画像補正機能が豊富で、クリエイティブな編集から圧縮までを一貫して行える

クラウド活用したい方向け|インストール不要の画像圧縮ツール

ソフトウェアのインストールが面倒な方や複数のPCで作業したい方には、ブラウザ上で完結するクラウド型のツールが便利です。

  • TinyPNG / TinyJPG
    • ドラッグ&ドロップするだけで簡単に画像を圧縮できる
  • Squoosh
    • Googleが開発したツールで、圧縮前後の画像を比較しながら細かな設定を調整できる
  • iLoveIMG
    • 圧縮のほか、リサイズや切り抜き、フォーマット変換など、多彩な画像編集機能を備えている

大量の画像を処理したい方向け|一括圧縮できるツール

大量の画像を一度に処理したい場合は、一括処理(バッチ処理)機能が必須です。

デスクトップアプリ
・特徴:PCにインストールして使用する。大量のファイルを安定して処理できる。
・おすすめの用途:オフライン環境での作業、定期的な大量処理。

クラウドサービス
・特徴:Webサイトにアクセスして使用する。ツールの管理が不要で手軽に利用できる。
・おすすめの用途:チームでの共有、場所を選ばない作業。

WordPressプラグイン
・特徴:WordPressに直接導入する。記事投稿と同時に自動で圧縮できる。
・おすすめの用途:ブログやメディアサイトの運営。

【ブログ・Webサイトの表示速度を劇的に改善】画像圧縮の効果と実践

ここからは、画像圧縮による具体的な効果と実践方法を見ていきましょう。

画像圧縮による表示速度改善:具体的な効果測定

画像圧縮の効果は、専用のツールを使うことで誰でも簡単に測定できます。以下の手順で、Webサイトの改善効果を実感してみましょう。

1. 現状の測定
・Googleの「PageSpeed Insights」や「GTmetrix」といったツールを使い、圧縮前のサイトの表示速度スコアを測定する。

2. 画像圧縮の実践
・サイト内で使用している主要な画像を圧縮する。
・特にファイルサイズが大きい画像から手をつけると効果的である。

3. 改善後の測定
・再度同じツールでスコアを測定し、Before/Afterを比較する。
・多くの場合、スコアが大幅に改善され、ページの読み込み時間が短縮されていることがわかる。

Webサイトに最適な画像形式と圧縮設定

画像の形式(フォーマット)を正しく選ぶことも最適化の重要なポイントです。代表的な画像形式の特徴を理解し、使い分けましょう。

JPEG
・特徴:フルカラー(約1,677万色)に対応。非可逆圧縮で高い圧縮率を実現。背景の透過は不可。
・最適な用途:写真やグラデーションの多い画像。

PNG
・特徴:可逆圧縮で画質が劣化しない。背景を透過できる。JPEGよりファイルサイズが大きくなりやすい。
・最適な用途:ロゴやアイコン、イラスト、背景を透過させたい画像。

GIF
・特徴:256色までしか扱えない。簡単なアニメーションを作成できる。
・最適な用途:アニメーションや単純な配色のロゴ。

WebP
・特徴:Googleが開発した次世代フォーマット。JPEGやPNGより高い圧縮率と画質を両立。透過やアニメーションも可能。
・最適な用途:Webサイト全般の静止画やアニメーション。

AVIF
・特徴:WebPよりもさらに圧縮効率が高い最新のフォーマット。対応ブラウザがまだ限定的。
・最適な用途:最新ブラウザをターゲットにしたWebサイト。

画像の最適化には「Imgix」

数ある画像最適化ソリューションのなかでも、特に高機能で開発者からの評価も高いのが「Imgix」です。Imgixは単なる圧縮ツールではなく、リアルタイムで画像を加工・配信する「画像処理APIサービス」です。

Imgixを導入することで、以下のような高度な画像最適化が実現できます。

URLパラメータによる動的な画像操作
・URLを変更するだけで、リサイズや切り抜き、フィルタ適用、テキスト合成などができる。

インテリジェントな自動最適化
・AIがコンテンツを分析し、最適なフォーマット変換や品質調整、圧縮を自動で行う。

高速なグローバルCDN
・世界中に最適化された画像をキャッシュし、どこからアクセスしても高速な配信を実現する。

高度なアートディレクション
・顔認識やエントロピー(情報量)に基づいたスマートクロッピング(賢い切り抜き)ができる。

なお、企業向けの機能として次の機能も備わっています。

セキュリティ
・デジタル画像署名やウォーターマークなど、企業のセキュリティ要件に対応する機能を提供する。

詳細な分析レポート
・画像の利用状況やパフォーマンス、コストなどを詳細に分析し、最適化戦略の改善に役立てられる。

専任サポート
・アカウントマネージャーが、導入から運用までをサポートする。

高可用性の提供
・99.99%のアップタイムを実現し、企業のビジネス継続性をサポートする。

Imgixを利用すればCMSやeコマースプラットフォームなど、既存のシステムと容易に連携できます。Imgixの機能を自由にカスタマイズし、独自のニーズに合わせた画像処理ソリューションを構築できます。

手動での画像管理から解放され、常に最適な画像をユーザーに届けたいと考える企業にとって、Imgixは非常に強力な選択肢となるでしょう。

画像圧縮に関するよくある質問

ここでは、画像圧縮に関するよくある質問にお答えします。

Q:導入時に注意すべきポイントとは

新しいシステムやソフトウェア、サービスなどを導入する際は、以下の点に注意しましょう。導入後のトラブルを未然に防ぎ、スムーズな運用につなげられます。

明確な目的の定義
・導入によって何を実現したいのか、具体的な目的を定める。
・目的が明確であれば、適切な製品やサービスを選定しやすくなり、導入効果を測定できる。

十分な調査と比較検討
・複数の製品やサービスを比較検討し、自社のニーズに合致するものを選ぶ。
・価格だけでなく、機能やサポート体制、将来性なども考慮する。

綿密な計画の策定
・導入スケジュールや必要なリソース、担当者の役割分担などを明確にしたうえで計画を立てる。
・計画には、予期せぬ事態への対応策も盛り込んでおくと安心である。

関係者への周知とトレーニング
・導入に関わるすべての関係者に対し、導入の目的やスケジュール、新しいシステムの使い方などを丁寧に説明する。
・必要に応じて、トレーニングを実施することも有効である。

テスト環境での検証
・テスト環境で十分に検証を行い、問題点や改善点を見つけ出す。
・テスト環境での検証は、本番環境でのトラブルを未然に防ぐために不可欠である。

導入後のフォローアップ
・導入後も定期的に効果測定を行い、問題点や改善点があれば迅速に対応する。
・ユーザーからのフィードバックを収集し、改善に役立てることも重要である。

Q:画像圧縮すると画質はどこまで劣化するのか

A:圧縮方法と圧縮率によります。

可逆圧縮(PNGなど)
・特徴:ファイルサイズはあまり小さくならない。
・画質劣化:まったく劣化しない。

非可逆圧縮(JPEGなど)
・特徴:圧縮率を高くするほどファイルサイズは小さくなる。
・画質劣化:圧縮率を高くするほど画質は劣化する。

AI圧縮
・特徴:AIが画像内容に応じて適切な圧縮率に調整する。
・画質劣化:従来の手法より、高い圧縮率でも劣化が目立ちにくい傾向にある。

Q:画像圧縮後に画質を戻すことはできるのか

A:基本的にはできないと考えてください。

特にJPEGなどの非可逆圧縮で失われた画像データは、元に戻すことができません。そのため、圧縮作業の前に元画像のバックアップを取っておきましょう。

Imgixではクエリパラメーターでリクエストベースで最適化するので、元画像を変更せずにアクセス先のデバイスやブラウザに合わせて最適化して配信することができます。

Q:画像圧縮ツールのセキュリティ対策とは

A:信頼できるツールを選ぶことが重要です。

実績のあるツールを選ぶ
・多くのユーザーに利用されている有名なツールは、セキュリティ面でも信頼性が高い傾向にある。

プライバシーポリシーを確認する
・アップロードした画像がどのように扱われるかを確認する。
・すぐに削除されるのか、サーバーに一定期間保存されるのかなどをチェックする。

機密情報は扱わない
・個人情報や社外秘の情報を含む画像は、安易にオンラインツールにアップロードしないようにする。

まとめ 画像圧縮を活用してユーザー体験を向上させよう

画像圧縮は、単なる技術的な作業ではありません。Webサイトの表示速度を高め、訪問してくれたユーザーに快適な体験を提供するための「おもてなし」です。

まずはWebサイトで重い画像から、圧縮を試してみてはいかがでしょうか。その小さな一歩が、サイトの評価とビジネスの成果を大きく向上させるきっかけになるはずです。