Webサイトの表示速度が遅延していると感じるなら、 画像サイズが原因かもしれません。
画像サイズは表示速度だけでなく、UX(ユーザーエクスペリエンス)にも大きな影響を与える要因です。
特にSEO対策を意識しているなら、画像の軽量化は避けて通れません。
画像が重いと、ページの表示速度が遅くなり、SEO評価を下げるだけでなく、ユーザーの離脱率を高めてしまう可能性があります。
本記事では、「画像を軽量化する理由」から、SEOへの具体的な影響、そしてAI活用を含む具体的な対応方法までを解説します。
さらに、代表的な画像形式の特徴や、便利な軽量化ツールも紹介するので、参考にしてください。
また、画像最適化の自動化を検討されている方には、画像・動画の自動設定機能を有するサービス「Imgix」の活用がおすすめです。

画像の軽量化がビジネスに与える影響

本章では、画像の軽量化がビジネスに与える影響について解説します。
昨今のビジネスにおいて、Webサイトやオウンドメディアの運営はあらゆる業界・業種の企業が実践しています。
画像の軽量化は、ユーザーにより良いアプローチをするうえで重要な取り組みであることを理解しましょう。
画像軽量化の基本概念
画像軽量化とは、画像ファイルのデータサイズを小さくする作業です。
Webサイトで使用する画像は、高画質であるほどファイルサイズが大きくなる傾向があります。
しかし、ファイルサイズが大きいと、Webページの表示速度が遅くなり、ユーザー体験の低下やSEO評価の悪化につながる可能性があります。
画像軽量化は、画質をできる限り維持しながら、ファイルサイズを最適化する技術です。
画像軽量化には、主に以下の2つの方法があります。
- 圧縮
- 画像データを圧縮して、ファイルサイズを小さくします。圧縮方法には、可逆圧縮と非可逆圧縮があります。
- リサイズ
- 画像のサイズ(ピクセル数)を小さくします。
画像の軽量化は形式の変更やトリミングなどによって実施されます。
昨今はAIによって軽量化する画像圧縮ツールが登場しました。
AI画像圧縮ツールは、機械学習アルゴリズムによって画像の分析・識別を行い、不要なデータの削除と最適化を実行します。
従来の手動圧縮と比較して、画像の内容を理解した最適な圧縮率の自動決定や、大量画像の一括処理が可能です。
AI画像圧縮ツールは手動による最適化作業が不要なため、開発チームの作業効率化と運用コスト削減が期待できます。
軽量化が必要な理由(画像劣化の原因と影響)
画像軽量化が必要な理由は、主にWebページの表示速度を改善するためです。
表示速度が遅いと、ユーザーはストレスを感じ、Webサイトから離脱してしまう可能性が高まります。
また、Googleなどの検索エンジンは、表示速度をSEOの評価基準の一つとしています。
したがって、画像軽量化は、WebサイトのSEO対策としても重要な要素となります。
しかし、画像軽量化を行う際には、画質劣化のリスクも考慮しなければなりません。
特に、非可逆圧縮を行う場合には、画像データの一部が失われるため、画質が劣化するリスクに注意が必要です。
例えば、JPEG画像は、保存するたびに圧縮されるため、繰り返し保存すると画質が劣化してしまいます。
なぜならJPEGは非可逆圧縮形式であるため、一度失われたデータは元に戻らないためです。
画像の劣化は、以下のような悪影響を及ぼす可能性があります。
ブランドイメージの低下
・画質の悪い画像は、Webサイト全体の品質を下げ、ブランドイメージを損なう可能性があります。
コンバージョン率の低下
・商品画像などの画質が悪いと、ユーザーは商品の詳細を十分に確認できず、購入意欲が低下する可能性があります。
ユーザー体験の低下
・画質の悪い画像は、視覚的なストレスを与え、ユーザー体験を損なう可能性があります。
したがって、画像軽量化を行う際には画質とファイルサイズのバランスを考慮し、最適な設定を見つけることが重要です。
画像を軽量化する5つのメリット

画像を軽量化することで、Webサイトやアプリケーションのパフォーマンスが向上し、以下のメリットの実現が期待できます。
- 表示速度改善によるSEO評価の向上
- UX改善による離脱率の低下
- コンバージョン率の向上による売上増加
- モバイルユーザーのUX向上
- サーバー負担の軽減
本章では、画像を軽量化する5つの主要なメリットについて解説します。
表示速度改善によるSEO評価の向上
Webサイトの表示速度は、Googleなどの検索エンジンがランキングを決定する際の重要な要素です。
画像を軽量化することで、ページの読み込み時間が短縮され、SEO評価の向上が期待できます。
基本的にWebサイトの画像は100〜300KB程度が、SEOに最適とされています。
画像を掲載する際は、このレベルの容量を目安にしましょう。
特に、表示速度の改善はGoogleが重要視する指標であるLCP(Largest Contentful Paint)の改善に貢献します。Googleの調査では、ページ読み込み時間が3秒を超えると53%のモバイルユーザーが離脱するため、画像軽量化は重要な施策です。
LCPとは、ページ内で最も大きなコンテンツ要素が表示されるまでの時間を指す用語です。GoogleではLCPを2.5秒以内に完了することが推奨されています。
画像の軽量化は、このLCPの改善に直接的に影響するため、SEO対策として非常に有効です。
UX改善による離脱率の低下
UX改善による離脱の低下も、画像の軽量化で得られるメリットです。
表示速度が遅いWebサイトは、UXを著しく損なうため、ユーザーが離脱しやすくなります。
ユーザーは、ページの読み込みに時間がかかるとストレスを感じるためです。
画像を軽量化し、表示速度を改善することで、ユーザーは快適にWebサイトを閲覧できるようになり、結果として離脱率が低下します。
UXの向上は、顧客満足度を高め、リピーターを増やすことにもつながります。
ユーザーが定着しやすい快適なWebサイトを実現するうえで、UXの改善は不可欠な施策です。
コンバージョン率の向上による売上増加
画像の軽量化によってUXが向上し、離脱率が低下すると、Webサイトのコンバージョン率(CVR)が向上する可能性が高まります。
コンバージョン率とは、Webサイト訪問者のうち、商品購入や問い合わせなどの目標行動を達成したユーザーの割合を指す用語です。
画像の軽量化によって、ユーザーがスムーズにコンテンツを閲覧し、必要な情報に素早くアクセスできるようになることで、購入意欲が高まり、売上増加に貢献します。
モバイルユーザーのUX向上
画像を軽量化すれば、モバイルユーザーのUX向上も可能です。
近年はデバイスの発展もあり、スマートフォンなどのモバイルデバイスからのWebサイトアクセスが増加しました。
モバイル環境では、通信速度が不安定であったり、データ通信量に制限があったりする場合があります。
画像を軽量化することで、モバイルユーザーはより快適にWebサイトを閲覧できるようになり、UXが向上します。
モバイルフレンドリーなWebサイトは、SEO評価においても有利に働くため、画像の軽量化はモバイル対策としても重要です。
サーバー負担の軽減
Webサイトに掲載する画像ファイルのサイズが大きいと、サーバーへの負荷が増加します。
特に、アクセスが集中する時間帯には、サーバーダウンなどのトラブルが発生する可能性もあります。
画像を軽量化することで、サーバーの負荷を軽減し、安定したWebサイト運営を実現できます。
また、サーバーの運用コスト削減ができる点も魅力です。
なお、後述するCDN(コンテンツ配信ネットワーク)で画像の軽量化を実行すれば、サーバーの負担をさらに軽減できます。
さらに表示速度の向上や画像・動画のスムーズな最適化も可能です。
代表的な画像形式4選

Webサイトで使用される画像にはさまざまな形式があり、それぞれに特徴があります。
本章では、以下の代表的な画像形式について解説します。
- JPEG
- PNG
- WebP
- AVIF
適切な形式を選ぶことで、画質を保ちつつファイルサイズを軽量化し、Webサイトの表示速度の向上が可能です。
JPEG
JPEG(Joint Photographic Experts Group)は、写真やリアルな画像に適した形式です。
色彩が多い画像や複雑な画像に適している画像形式のため、ポートレイトや風景写真など、さまざまな画像のフォーマットとして推奨されています。
高い圧縮率でファイルサイズを小さくできる点が特徴です。
ただし、JPEGは圧縮の際に画質が劣化する「非可逆圧縮」であるため、編集を繰り返すと画質が劣化していきます。
Webサイトに掲載する写真など、ファイルサイズを優先したい場合に適しています。[2]
PNG
PNG(Portable Network Graphics)は、主にイラスト・テキストなど、細かいディティールや鮮やかな色彩が必要な画像に適した形式です。
色域が広いので、透明効果やグラデーションを保持したい画像にも最適です。
PNGはJPEGとは異なり、「可逆圧縮」であるため、何度編集しても画質が劣化しません。
また、背景を透過できる点も特徴です。
Webサイトのロゴやアイコンなど、画質を重視したい場合に適しています。
高画質で保存したい画像に適している一方で、PNGは容量が大きくなりやすいリスクがあります。
WebP
WebPは、Googleが開発した比較的新しい画像形式で、JPEGやPNGに比べて高い圧縮率を実現できる画像形式です。
サイズを小さくしやすいため、ストレージの節約や表示速度の向上が可能です。
可逆圧縮と非可逆圧縮の両方に対応しており、透過処理もできます。
WebPはWebに特化した画像形式であり、Webサイトの表示速度向上に貢献するため、近年注目されています。
ただし、古いブラウザでは対応していない場合がありますので、注意が必要です。
AVIF
AVIF(AV1 Image File Format)は、WebPよりもさらに新しい画像形式で、より高い圧縮率を実現できます。
特に高画質の画像において、WebPよりもファイルサイズを小さくできる場合があります。
また、同程度のデータ量ならJPEGより高い画質を実現できる点も魅力です。
複数の色空間に加え、8ビット〜16ビットの色深度にも対応しています。
AVIFはWebPと並んで次世代の画像形式として注目されており、今後も利用が拡大すると見込まれています。
ただし、WebPと同様に、対応しているブラウザが限られているので注意しましょう。
画像を軽量化できるツール6選

画像の軽量化は、Webサイトのパフォーマンス向上に不可欠です。
ここでは、簡単に導入でき、効果的な画像軽量化を実現する以下のツールを6つご紹介します。
- Imgix
- Cloudflare
- Cloudinary
- Optimizilla
- ImageRecycle
- Squoosh
それぞれのツールについて、順番に解説するので参考にしてください。
Imgix
Imgixは、リアルタイム画像処理に特化したCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)です。
URLにパラメータを追加するだけで、リサイズ・圧縮・フォーマット変換など、さまざまな画像処理を動的に実行できます。RESTful APIやSDKを提供しており、既存システムへの統合も容易で、エンジニアにとって導入しやすいツールです。
例えば、デバイスの画面サイズに合わせて画像を自動的に最適化したり、WebP形式に変換して配信したりすることが、Imgixなら実行が可能です。
さらにAIによる画像や動画の最適化もできるため、作業に手間がかかりません。
Imgixを活用することで、常に最適な画像をユーザーに届けられるうえに、表示速度の向上に大きく貢献します。
なお、ImgixはImgix APIを使った画像処理能力を向上させるための幅広いチュートリアルが提供されています。
積極的に活用することをおすすめします。
参照:Imgix公式サイト
Cloudflare
Cloudflareは、CDNとして広く知られていますが、画像最適化機能も非常に強力です。Image Resizingで各画像URLに画像最適化のパラメータを付与したり、Cloudflare Workersで画像へのリクエストをハンドリングして一括適用したりすることで画像の最適化が可能です。
また、Cloudflare Imagesと呼ばれるサービスを利用すれば、画像をCloudflareのストレージに格納し、リサイズや最適化を自動で実行できます。
さらに下り通信は課金対象とならないのが特徴です。
Cloudinary
Cloudinaryは、画像や動画の管理・最適化・配信をクラウド上で実行できるプラットフォームです。
アップロードされた画像は自動的に分析され、最適な形式・圧縮率・サイズで配信されます。
また、APIを通じてさまざまな画像処理を実行できるため、ウォーターマークの追加や、エフェクトの適用なども簡単に行えます。
Optimizilla
Optimizillaは、JPEGとPNGなどの画像をロスレス圧縮できるオンラインツールです。
Webサイトに画像をアップロードするだけで、自動的に圧縮処理が行われ、最適化された画像をダウンロードできます。
圧縮レベルを調整できるため、画質とファイルサイズのバランスを取りながら最適化できる点がOptimizillaの魅力です。
ImageRecycle
ImageRecycleは、JPEG・PNG・GIF・WebP形式の画像を圧縮できるオンラインツールです。
WordPressやShopifyなどのCMSプラグインも提供しており、Webサイトにアップロードされた画像を自動的に最適化できます。
一括圧縮機能や圧縮レベルの調整機能も備えているため、効率的な作業がしたいときに最適なツールです。
Squoosh
Squooshは、Googleが開発した無料の画像圧縮Webアプリです。
JPEG・PNG・WebP・AVIFなど、さまざまな画像形式に対応しており、ブラウザ上で簡単に画像を圧縮できます。
圧縮アルゴリズムや画質を細かく調整できるため、自分のニーズに合った最適な設定を見つけられます。
また、Squooshはオフラインでも利用できる点も魅力です。
参照:Squoosh公式サイト
まとめ 画像の軽量化はSEO評価やUX改善につながる

本記事では、画像の軽量化の重要性から、ビジネスへの影響・具体的なメリット・活用できるツールまでを幅広く解説しました。
画像の軽量化は、単にファイルサイズを小さくするだけでなく、Webサイトの表示速度を向上させ、SEO評価を高める上で不可欠な施策です。
表示速度の改善は、UXの向上にもつながり、離脱率の低下やコンバージョン率の向上といったビジネス成果にも貢献します。
画像を軽量化する際はJPEG・PNG・WebP・AVIFといったさまざまな画像形式の特徴を理解し、それぞれの用途に合わせて適切な形式を選択することが重要です。
また、Imgixのような軽量化ツールを活用することで、効率的に画像最適化を進められます。
Webサイトのパフォーマンス向上・UXの改善・ビジネスの成長のために、画像の軽量化に積極的に取り組みましょう。
