Webサイトの表示速度は、ユーザー体験だけでなく、検索エンジンの評価にも大きな影響を与えます。
表示速度が遅いと、ユーザーはストレスを感じて離脱しやすくなり、結果としてSEO評価の低下につながる可能性があります。
本記事では、表示速度がSEO評価に与える影響・速度が遅延する原因・改善策について詳しく解説します。
本記事を参考にして、サイトの表示速度改善にお役立てください。

SEO評価とは

SEO評価とは、Googleなどの検索エンジンがWebサイトの品質や関連性を評価し、検索結果の表示順位を決定する仕組みのことです。
SEO評価は、検索エンジンが独自に定めるさまざまな基準に基づいて行われます。
高いSEO評価を得ることで、検索結果での順位が上がり、より多くのユーザーにサイトを訪問してもらえる可能性が高まります。
SEO評価を高めるための施策は、大きく分けて「内部SEO」と「外部SEO」の2つがあります。
内部SEOとは
内部SEOとは、Webサイトの内部構造やコンテンツそのものを最適化することです。
具体的には、以下のような要素が評価対象となります。
上記の要素を改善することで、検索エンジンからの評価を向上できます。
外部SEOとは
外部SEOとは、ほかのWebサイトからの評価を通じて、自サイトの評価を高める施策です。
主な要素は以下のとおりです。
- 被リンクの質と量
- 信頼性の高いサイトからのリンク(被リンク)を多く獲得する。
- サイテーション
- SNSや他のWebサイトで自社名やサイト名が言及される。
外部SEOは自社だけでコントロールしにくい側面もありますが、質の高いコンテンツを発信し続けることで、自然な形で被リンクやサイテーションの獲得が期待できます。
SEO評価における表示速度の重要性

Webサイトの表示速度は、SEO評価において非常に重要な要素です。
特にGoogleは、ユーザー体験の向上を重視しており、表示速度が速いサイトを高く評価する傾向があります。
実際に、Googleは2010年にPC検索、2018年にはモバイル検索のランキングアルゴリズムにページの読み込み速度を組み込んだことを公式に発表しました。
Googleの取り組みは「スピードアップデート」として知られ、特にモバイルユーザーにとっては表示速度が利便性に直結することもあって重要視されています。
表示速度が遅いサイトは、ユーザーが離脱しやすくなるだけでなく、検索エンジンのクローラーによるサイトの巡回効率も低下させる可能性があります。
したがって、SEO評価を向上させるためには、表示速度の改善が不可欠です。
表示速度がSEO評価に影響する3つの要素

Webサイトの表示速度がSEO評価に影響を与える要素は、以下の3点です。
- Googleなど検索エンジンの評価
- ユーザビリティへの影響
- 離脱率・コンバージョン率への影響
上記を理解することで、表示速度改善の重要性と検索順位への影響が明確になります。
Googleなど検索エンジンの評価
検索エンジン、特にGoogleはユーザーにとって快適なWeb体験を提供することを重視している点が特徴です。
そのため、ページの表示速度をランキング要因の一つとして採用しています。
表示速度が速いサイトは、ユーザーが求める情報に素早くアクセスできるため、検索エンジンからの評価が高まり、検索順位の向上につながります。
Googleが公表している主な指標は以下のとおりです。
上記の指標を改善することで、検索エンジンからの評価向上につながります。
ユーザビリティへの影響
Webサイトの表示速度はユーザビリティ、つまりサイトの使いやすさに直接的な影響を与えます。
表示に時間がかかるページは、ユーザーにネガティブな印象を与えてしまいます。
例えば、以下のような状況に注意しましょう。
- 商品ページがなかなか表示されず、購入意欲が削がれる。
- 記事を読もうとしても画像やテキストの表示が遅く、読むのを諦めてしまう。
- ナビゲーションメニューの反応が鈍く、目的のページにたどり着けない。
反対に、表示速度が速ければ、ユーザーは快適にサイト内を回遊でき、満足度も向上します。
その結果、サイトへの再訪率や滞在時間の増加も期待できます。
離脱率・コンバージョン率への影響
表示速度の遅さは、ユーザーの離脱率を高め、コンバージョン率(目標達成率)を低下させる大きな要因です。
Googleの調査によると、モバイルページの読み込みに3秒以上かかると、53%のユーザーが離脱するとされています。
離脱率が高いことは、せっかくサイトに訪れてくれたユーザーが、コンテンツを見る前に去ってしまうことを意味します。
これは、商品の購入や問い合わせといったコンバージョン機会の損失に直結します。
表示速度を改善することは、ユーザーの離脱を防ぎ、コンバージョン率の向上にも貢献する重要な施策です。
表示速度が低下する4つの原因

Webサイトの表示速度が遅くなる主な原因を理解することは、効果的な改善策を講じるための第一歩です。
表示速度が低下する原因は以下のとおりです。
- 画像や動画の容量が大きい
- サーバーのスペックが低い
- ソースコードが複雑で重い
- プラグインが多すぎる
それぞれの原因について順番に解説します。
画像や動画の容量が大きい
Webページに含まれる画像や動画のファイルサイズが大きいと、読み込みに時間がかかり、表示速度の低下を招きます。
特に高解像度の画像や長時間の動画は、データ量が膨大になりがちです。
容量が大きいメディアファイルは、視覚的な魅力を高める一方で、ページの重さを増す要因となります。
サーバーのスペックが低い
Webサイトが設置されているサーバーの処理能力やネットワーク帯域が不足している場合、いくらサイト自体を軽量化しても表示速度は改善されません。
特に、アクセスが集中した際にサーバーの応答が遅くなることがあります。
サーバーが原因の表示速度の低下は、安価な共用サーバーを利用している場合や、サイトの規模に対してサーバーのスペックが合っていない場合に起こりやすいので注意しましょう。
ソースコードが複雑で重い
HTML・CSS・JavaScriptといったソースコードが冗長であったり、非効率的な記述が多かったりすると、ブラウザが解釈するのに時間がかかります。
加えて、不要なコードやコメントアウトされたままのコード、過度なJavaScriptの使用などによって表示速度が遅延するケースも珍しくありません。
また、多くのCSSファイルやJavaScriptファイルを個別に読み込んでいる場合も、リクエスト数が増えて遅延の原因になります。
プラグインが多すぎる
プラグインはWebサイトの運営や管理をするうえで便利ですが、あまりに多く導入するとかえって表示速度に悪影響を及ぼします。
WordPressなどのCMSを利用している場合、機能追加のために多くのプラグインを導入しがちです。
しかし、プラグインには品質が低いものや、他のプラグインとの相性が悪いものも存在します。
多数のプラグインを有効にしていると、それぞれがサーバーリソースを消費したり、追加のスクリプトを読み込んだりするため、サイト全体の動作が重くなることがあります。
無駄なプラグインは導入せず、必要な分だけに留めましょう。
SEO改善に役立つ表示速度計測ツール6選

本章では、SEO改善に役立つ以下の表示速度計測ツールを紹介します。
- Google Analytics
- PageSpeed Insights
- Googleデベロッパーツール
- Gtmetrix
- Test My Site
- OctaGate SiteTimer
自社に活用できる表示速度計測ツールを探す際の参考になります。
Google Analytics
Google Analyticsは、Webサイトのアクセス状況を分析する定番ツールですが、サイトの表示速度に関するデータも収集・分析できます。
「行動」メニュー内の「サイトの速度」レポートでは、平均読み込み時間やサーバー応答時間などの確認が可能です。
実際のユーザー環境に基づいたデータで分析するため、より現実的なパフォーマンスを把握するのに役立ちます。
一方、Google Analyticsの分析データは設定によって確度が変動します。
そのため、SEOに関する一定の知識が必要です。
PageSpeed Insights
PageSpeed Insightsは、Googleが提供する表示速度計測ツールです。
URLを入力するだけで、PCとモバイルそれぞれにおけるサイトのパフォーマンススコア(0〜100点)と、Core Web Vitalsの評価を確認できます。
具体的な改善提案も提示されるため、どこを修正すれば良いかがわかりやすいのが特徴です。
また、PageSpeed Insightsではラボデータとフィールドデータの両方を提供します。
PageSpeed InsightsはGoogleが提供しているツールですが、アカウントがなくても利用できるため、導入のハードルが低い点が魅力です。
Googleデベロッパーツール
Google Chromeブラウザに標準で搭載されている開発者向けツールです。
「Performance」タブや「Lighthouse」タブを利用することで、ページの読み込みプロセスを詳細に分析し、ボトルネックとなっている箇所を特定できます。
ネットワークリクエストの状況・JavaScriptの実行時間・レンダリングの過程などを視覚的に確認できるため、専門的な分析に適しています。
一方、開発者向けのツールであるため、初心者にはやや難易度が高いと感じるかもしれません。
Gtmetrix
GTmetrixは、詳細なパフォーマンスレポートを提供する人気の表示速度計測ツールです。
PageSpeed InsightsとYSlow(Yahoo!のパフォーマンス評価基準)の両方のスコアを表示し、改善のための具体的な推奨事項を提示します。
テストサーバーの地域を選択できたり、読み込みの過程をウォーターフォールチャートで視覚的に確認できたりする点が特徴です。
無料版でも十分な機能を利用できるため、比較的使いやすいツールです。
Test My Site
Test My SiteもGoogleが提供するツールで、特にモバイルサイトの表示速度計測に特化しています。
3G/4Gといった異なるネットワーク環境での読み込み時間のシミュレーションが可能です。
また、同業種の平均速度との比較や、速度改善によって期待できる収益増加額の試算なども提示してくれるため、ビジネス視点での改善の必要性を理解するのに役立ちます。
充実したフィードバックを得られるうえに、使いやすいので手軽に利用できます。
OctaGate SiteTimer
OctaGate SiteTimerは、シンプルで使いやすいオンラインの表示速度計測ツールです。
URLを入力すると、そのページに含まれる各要素(HTML・CSS・JavaScript・画像など)がどのくらいの時間をかけてダウンロードされたかを一覧で表示します。
どのファイルがボトルネックになっているかを視覚的に把握しやすいのが特徴です。
ただし、情報の表示数がそこまで多くないため、中級者以上に適しています。
表示速度の改善方法10選

表示速度の改善方法には、以下のようなものがあります。
- 画像サイズの最適化
- モバイル表示の最適化
- ブラウザキャッシュの活用
- CSS/JavaScripなどのソースコードの最適化
- Webフォントの削減
- レンダリングブロックリソースの排除
- HTTP/2への対応
- サーバーの強化
- WebサイトのSPA化
- コンテンツ配信ネットワーク(CDN)の活用
いずれの方法も、表示速度の改善に有効です。
それぞれのプロセスについて、順番に解説します。
画像サイズの最適化
ページ上でもっとも容量を占めることが多い画像ファイルのサイズを最適化することで、表示速度の大幅な向上が期待できます。
昨今は画像の最適化ができる無料のツールも多いため、比較的実践しやすい対策です。
具体的な方法は以下のとおりです。
- 適切な画像形式の選択
- 写真にはJPEG、ロゴやアイコンなど色の少ないイラストにはPNG、アニメーションにはGIFやWebPなど、用途に応じた形式を選びます。
- 画像圧縮
- 専用ツール(TinyPNG・ImageOptimなど)やプラグインを使用して、画質を極力損なわずにファイルサイズを小さくします。
- 適切な表示サイズでの配信
- imgタグのwidth属性とheight属性を指定し、ブラウザのレンダリングを助けます。
- レスポンシブデザインの場合は、srcset属性やpicture要素を使って、デバイスの画面サイズに応じた適切なサイズの画像を配信します。
- 遅延読み込み
- 画面に表示されていない画像(オフスクリーン画像)の読み込みを遅らせ、初期表示速度を向上させます。
モバイル表示の最適化
スマートフォンからのアクセスが増加している現代において、モバイル端末での表示速度は非常に重要です。
Googleもモバイルファーストインデックスを導入しており、モバイルサイトの評価が検索順位に大きく影響します。
モバイル表示の最適化は、以下のような方法で実践しましょう。
- レスポンシブWebデザインの採用
- 1つのHTMLで、PC・タブレット・スマートフォンなど、さまざまな画面サイズに対応したレイアウトを表示します。
- AMPの導入
- AMPとはモバイルページを高速で表示するためにGoogleが推奨するフレームワークです。
- 導入には技術的な制約もありますが、特にニュースサイトやブログなどで効果を発揮します。
- タップターゲットの適切なサイズと間隔
- ボタンやリンクが小さすぎたり近すぎたりすると、誤タップを誘発しユーザビリティを損ねます。
- フォントサイズの調整
- モバイル画面でも読みやすいフォントサイズを設定します。
ブラウザキャッシュの活用
ブラウザキャッシュの活用も表示速度の改善に効果的です。
ブラウザキャッシュとは、一度アクセスしたWebサイトのファイル(画像・CSS・JavaScriptなど)をユーザーのブラウザに一時的に保存しておく仕組みです。
これにより、ユーザーが再訪した際にサーバーから再度ファイルをダウンロードする必要がなくなり、表示速度が向上します。
ファイルの種類ごとに適切なキャッシュ期間を設定すれば、表示速度を改善できます。
CSS/JavaScriptなどのソースコードの最適化
ソースコードの記述方法も表示速度に影響する要素です。
不要なコードを削除し、効率的な記述にすることで、ファイルの軽量化と読み込み時間の短縮につながります。
ソースコードを最適化する際は、以下のような作業を実施しましょう。
Webフォントの削減
Webフォントはデザインの自由度を高めますが、多用すると読み込みに時間がかかり、表示速度を低下させる原因となってしまいます。
特に日本語フォントはファイルサイズが大きい傾向があります。
使用するWebフォントの種類やウェイト(太さ)を最小限に絞ったり、サブセット化してフォントファイルを軽量化したりすることで、表示速度の改善が可能です。
レンダリングブロックリソースの排除
CSSやJavaScriptファイルには、ブラウザがページのレンダリングを一時停止させてしまうレンダリングブロックリソースと呼ばれるものがあります。
これらが「head」タグ内で同期的に読み込まれると、ファーストビューの表示が遅れる原因になります。
レンダリングブロックソースを排除する際は、クリティカルCSSをHTML内にインラインで記述し、残りのCSSは非同期で読み込む方法が有効です。
JavaScriptの場合は、async属性やdefer属性を<script>タグに追加して非同期読み込みを行いましょう。
HTTP/2への対応
表示速度を改善するなら、HTTP/2への対応も検討しましょう。
HTTP/2は、従来のHTTP/1.1に代わる新しい通信プロトコルです。
HTTP/1.1では1つの接続で1つずつリクエストを処理していましたが、HTTP/2では1つの接続で複数のリクエストを並行して処理できます。
これにより、特にリクエスト数が多いページの表示速度改善が期待できます。
サーバーの強化
表示速度を改善するなら、サーバーの強化も積極的に検討しましょう。
Webサイトの基盤となるサーバーの性能も、表示速度に大きく関わります。
アクセス数やコンテンツ量に対してサーバーのスペックが不足している場合、応答時間が長くなり、表示速度が低下します。
サーバープランを変更したり、専用サーバーに移行したりすれば、サーバーの強化が可能です。
ただし、専門的な知識が求められる場合があるので注意しましょう。
WebサイトのSPA化
表示速度の改善には、WebサイトのSPA化も効果的です。
SPAは「Single Page Application」の略称であり、単一のWebページでコンテンツの切り替えを行うアーキテクチャです。
最初のページ読み込みに時間がかかる場合がありますが、一度読み込んでしまえば、以降のページ遷移は差分データのみを読み込むため高速になります。
ユーザー体験の向上に寄与しますが、開発コストやSEO対策の難易度が上がる側面もあります。
コンテンツ配信ネットワーク(CDN)の活用
CDNはContent Delivery Networkの略称であり、世界各地に分散配置されたキャッシュサーバーを利用して、Webコンテンツをユーザーに最も近いサーバーから配信する仕組みです。
これにより、物理的な距離による遅延を軽減し、オリジンサーバーの負荷を分散できます。
CDNを導入すれば、表示速度を向上できるだけでなく、セキュリティの強化にもつながります。
画像最適化サービス「Imgix」による自動化

SEO評価を向上させるために表示速度を改善するなら、ぜひ Imgixをご活用ください。
Imgixは画像最適化サービスであり、画像のサイズを改善したり、Webサイトのパフォーマンスを向上したりできます。
さらに複数のAI機能を組み合わせることにより、最適化作業の自動化も可能です。
Imgixは世界中のさまざまな有名企業で活用されており、高い評価を受けています。
まとめ Webサイトの表示速度改善はSEO対策の第一歩

Webサイトの表示速度を改善することは、ユーザー体験を向上させるだけでなく、検索エンジンからの評価を高め、SEO効果を最大化するための重要な取り組みです。
表示速度が遅いと、ユーザーはストレスを感じてサイトから離脱しやすくなり、これが直帰率の上昇やコンバージョン率の低下につながります。
Googleをはじめとする検索エンジンは、ユーザーにとって価値のあるサイトを上位に表示しようとするため、表示速度はランキング要因の一つとして明確に位置づけられています。
本記事で紹介した表示速度の計測ツールや改善方法を参考に、自サイトのパフォーマンスを見直し、継続的な改善を心がけましょう。
