ストリーミング動画の最適化:HLSとLL-HLSの活用
本記事は、ストリーミング動画に関する3部構成ブログシリーズの最終回です。これまでの記事では、ストリーミング動画の重要性、適応型ビットレートストリーミング(ABS)の仕組みを解説しました。今回は、ストリーミング動画の標準プロトコルである HLS(HTTP Live Streaming)とLL-HLS(Low Latency HLS) について説明します。
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HLSとは?
HLSは、Appleが2009年に発表したストリーミング動画の配信プロトコルです。それまで主流だったFlashを置き換える目的で開発され、iOS、macOS、Apple TVのデフォルトプロトコルとして採用されました。HTML5と完全互換性があり、ライブストリーミングだけでなく動画オンデマンド(VOD)にも対応しているため、現在では世界中で標準的に利用されています。
HLSの仕組み
HLSは、MP4動画を短いチャンク(数秒単位)に分割し、HTTPを通じて配信する仕組みを採用しています。動画のストリーミングは、通常のウェブブラウザのリクエストとは異なり、ブラウザが動画ストリームのポートを開き、すべてのチャンクを受信するまでオープン状態を維持します。
HLSによる動画配信の流れ
- ユーザーが動画を再生 → ウェブサーバーがメディアファイルをエンコーダー/トランスコーダーに送信。
- エンコード/トランスコード → 動画を圧縮し、ターゲットデバイス向けに変換。
- 動画を短いセグメントに分割(数秒単位)。
- マニフェスト(プレイリスト)を作成し、セグメント情報を管理。
- 適応型ビットレートストリーミング(ABS)用の複数ファイルを生成(SD、HD、4Kなど)。
- CDN(コンテンツ配信ネットワーク)を利用し、高速配信。
- ブラウザがマニフェストを参照し、適切なセグメントを組み合わせて再生。
imgix Video APIを使用すると、動画を簡単に変換し、 <ix-video>
コンポーネントを利用してストリーミングできます。
HLSが高品質ストリーミングの標準となる理由
HLSは、適応型ビットレートストリーミング(ABS)を活用することで、最適な画質とスムーズな視聴体験を提供します。
- ほぼすべてのOSで対応(iOS、Android、Windows、macOS など)
- HTML5との互換性 → 開発者が容易に実装可能
- 専用アプリ不要 → 一般的なウェブサーバーを活用可能で、低コスト
低遅延HLS(LL-HLS)とは?
HLSはもともと高品質重視の設計だったため、ライブ配信のリアルタイム性が低いという課題がありました。しかし、2019年のApple Developer Conferenceで LL-HLS(Low Latency HLS) が発表され、標準HLSプロトコルに組み込まれました。
LL-HLSは、従来の低遅延プロトコルよりも高画質を維持しながら、高速ストリーミングを実現します。
プロトコル特徴HLS高品質・安定性重視(遅延あり)従来の低遅延プロトコル速度重視(品質低下の可能性)LL-HLS高品質 + 低遅延の両立
LL-HLSは、スポーツ配信やインタラクティブ動画など、リアルタイム性が求められる場面で特に効果的です。
ストリーミング動画の未来
5Gの普及により、ストリーミング動画の体験は劇的に変わります。
- 4K動画の即時ダウンロード(4Gの10倍以上の速度)
- エッジコンピューティング により、処理負荷が軽減
- 3D、AR、VRコンテンツの普及(商品を360°回転、家具の仮想配置など)
まだ実用化には時間がかかりますが、今のうちにHLS/LL-HLSの最適化を進めておくことが重要 です。
imgixのストリーミング動画ソリューションにご興味がある方は、support@imgix.com までお問い合わせください。